2020年12月18日

大根コトコト

−読み物レシピ−


〇大根の煮物


冬の畑は大地が冷たい。長靴を履いて歩いていると足の指先が段々と冷えて痛くなってくる。頬や耳がキンキンと冷えて痛かったのが、動いて血行が良くなってくると、今度は赤くジンジンと熱くなってくる。


足元にあるトゲトゲの瑞々しく長い葉っぱの束を片手でむんずと掴み、真上に引き上げる。ほんの少しだけ左右にゆすりながら。少し根っこが切れる感触が手に伝わって、ズボッとそれは抜ける。うん、いいできだ。何回かそれを繰り返す。半分と少し泥にまみれたそれを軽トラの荷台に乗っけて帰ると、腕まくりをして心臓が痛くなりそうなくらいの冷たい水でそれの泥を落とす。と、真っ白な大根が姿を現す。


泥を脱いできれいになった大根を台所へ連れてゆく。まな板に大根を乗せて、菜っきり包丁で身と葉っぱを分ける。葉っぱは後でふりかけにしよう。身の方は34pくらいの厚さに切って、少し厚めに皮をむく。それから、ピーラーで直角の淵が丸くなるように削る、面取りだ。全ての大根が角の取れた輪切りになったら、鍋に並べていく。


そしたら鍋にお米のとぎ汁を注いで・・・。まずはお米を研ごう。

大根が待つお鍋に米のとぎ汁を注いで、アルミホイルで落し蓋をしてしばらく煮る。

コトコト。大根が鍋の中で踊っても大丈夫。角がないから、隣同士で傷つけあわない。


火を止めて鍋ごと流しに置いたら、アルミホイルの落し蓋の上から細く出した水道の水を当てる。そうして大根の芯までゆっくり冷やす。こうすると煮込んだ時に味が染みこみやすくなるんだって。


大根の芯まで冷えたら、流水で米ぬかを優しく洗い流す。煮る前と違って、柔らかな手触りでほんのり暖かくて、大切に扱わないと壊れてしまいそうなぬくもりだ。ひとつひとつそうやって洗って、違う鍋にまた並べていく。


鰹節と昆布で取っただしを張って、落し蓋をしたら火にかける。中火くらいでコトコトと。

大根がだしの中で温まってきたら、だしだけ味見してみる。味見してから、大根の味が良く引き出せる分だけお醤油と酒を入れる。またコトコト。味がなじんだら火を止めて粗熱を取る。


お気に入りのお椀に盛り付けて、つゆも少し多めに。光が当たると昇っていく湯気の粒が見える。早速食べてみよう。お箸を大根にそっと当てると、思いのほか柔らかくスッと箸が落ちていく。切り出した大根を少し冷ましてから口に運ぶ。口に入れると、大根の軟らかくなった繊維だけ少し感じて、あとはだしの味を染みこませた実の部分がジュワッと溶け出して消えていく。大根特有の苦みのある香りを残して。


そうしてつゆまで全部飲み干してお椀が空になると、お腹も足の指先も温まって、気持ちがいい。

ごちそうさまでした。

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posted by しょくぶん広報 at 10:05| Comment(0) | 読み物レシピ
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